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  • 執筆者の写真Shiori SHIMOMURA

思慮深くあるために


今年5月の展示会が終わってから、

今まで生きてきた中でいちばんと言っていいくらい長い旅を終えてから 頂いたご注文を製作したり、自分の中に降りてきたものを形にして

先月ウェブサイトの更新した後で、思ったこと。

「もっともっとできるし、もっともっとやりたい。」

それがどういうことなのかと、しばらく考えていたのですが、

これを実現させるために、まず、今までしてきた下記のことをやめてみることにします。

2020年はコレクションと称しての生地提案をやめます。

理由は4つあります。

*季節に合わせてのコレクションとして、生地を探して集めることに限界がある。

私は柄やグラフィックのデザインやオリジナルのプリント柄を作らないので、

今まで巷に流れている柄物の生地の中で、好きなものを集めてまとめて提案していましたが、

最近では、それが本当に欲しいものを求めている人に、きちんと届けられる方法なのか?と、

この半年ほど考えた結果、コレクションをやめることを試してみることにしました。

*その限界も一つの理由となって、タイミングよく新しい製作と提案に結びつきにくい。

結局、上記のように生地を寄せ集めてから、作り始めて、進めていくうちに、

なんとなく私の中では提案したいと思う核みたいなものが曖昧になるのです。

そうなると、やっぱり商品の力が弱くなるって思うことが、何度かあったのです。

これは、クライアントさんの為というより、どうしたら自己満足を埋められるかということです。

*私が製作を始めた時期に比べて、今は柄物の商品が飽和している。

製作を始めた2013年に比べて、この分野のファッションのマーケットが大きくなりました。

韓国や台湾や中国をはじめとしてあらゆるところにある

「手頃で映える」というファッションを作ることは、いっぱい出てきていて、

私はそれに対して特に価格の面では、対抗できないし、するつもりもありません。

*クライアントさんは、コレクションよりも「今」を求めている。

コレクションがなくても不都合に感じる人はいないと、今は思っています。

そしてないほうが、クライアントさんが発注くださる部分の理由とか目的に、

私はもっと近づけることもあるかもしれないと思いました。

作る過程の中で、私が最初から生地を用意して持っているよりも、

生地を選んでいただくようにしてみることにします。

ただし、生地を選んでいただく場合、生地に合わせた色の糸の代金をいただく場合があります。

そして、糸の代金は生地より高くなることもあるということを、ご承知おきください。

尚、生地をお持込いただいてのご注文はお断りすると思います。(時と場合によります。)

***

こういうことを明らかにすることは、奇妙に思う人もいるかもしれません。

そして、今後自分から積極的に提案しない限り、受注をいただく数も更に減ると思います。

でも、それでいいと思います。

闇雲に材料を買って作って用意するだけでは、持続可能に繋がりません。

そして自分が作った後の服にも、これまで以上に責任を持つことにしたいと思います。

例えば、子供向けだと、その成長はあっという間で着れなくなるし

大人になっても世の中には「その一回だけしか着ることのない服」も存在するから、

本質的には、そんなに簡単なことではないのですが、

より長い間所有して、何度も繰り返し着られるような服を目指して

クライアントさんとコミュニケーションすることが、もっとも大切なことに思います。

そしてこれから、ハムレットではないけれど、

「今ここで買う」さもなければ「買わない」(to buy? or not to buy?)というくらい、

シンプルに考える人が増えていくと思います。

だったら私は「今ここで買う」となる服だけ、作ればいいだけかもしれません。

まずは、私がそういう服を「作ること」「着ること」「装うこと」を楽しむこと。

よりきちんとしたものを作って、時に改良したり修理したりして、使い続けること。

それを実現させる為に、自分の体や健康に対しても、より気を配ること。 このことは思慮をより深くさせるし、その為の手間がかかるのけれど必要なこと。

そう考えるとやっぱりファッションって服ではなくて、生き方に繋がってると思います。

ということで、これからは私が自分で好きに服を作っていって、

それを写真に撮りためたタイミングで、生地やサンプルを紹介する為に、

ウェブサイトを不定期に更新して行くことになると思います。

今までも不定期といえば不定期でしたが(爆) 最早、注文服を販売するためのサイトではなくなると思います。

とはいえ、現在在庫の生地をまだ抱えておりまして(笑)

それらをどうするかということも、来年は展示会をするのかどうかということも、

(展示会やるならやるで早く決めなきゃいけない)今は考えながらも焦っていたりもします。 服を作ることを続けることも、タンゴを続けることも案外と簡単じゃないけど、

あきらめるよりは簡単なこと、と思えるくらいになりました。 そんなことを思えるくらい、作る機会と環境を支えてくださった人たちと この不定期な文章を読んでくださることに、改めて感謝を申し上げます。

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