2周年
- Shiori SHIMOMURA
- 2015年10月31日
- 読了時間: 3分
製作販売の活動を始めて2年が経ちました。 始めた当初は、先のことは全部目に見えるものではないけれど、 そんなやんわりした中を、まっすぐに疾走するように手を動かすことで、 自分の存在を表現し、他者とコミットしていきたいという気持ちがありました。 その頃、無駄に考える時間ばかりが沢山ありまして、 どんなに楽しく踊っても、どんなに素晴らしい絵画や舞台を観ても、音楽を聴いても、 時々その裏の無意識の中に、ちょこっとした隙間があるような感じでした。 「自分で何かを起こさなければ、死んでしまう。」とも思っていました。 何か目標があるわけでもないけれど、その隙間を埋めるために自分の欲しいものが、 「自分の手で作ったものを届けて、相手を幸福にする」ことだと勘違いをしたのかもしれません。 目線?視点?視野?どれかひとつでも変えていたら、他にも何かあったはずです。 でも、なぜかその勘違いは今でも続いていて、つまり私は当時より幸せに近づいているみたいです。
当初、一番気がかりだったことは、 「自分が作る服のクオリティが受け入れられるのだろうか?」ということでしたが、 それでも「とにかくやってみてから考えよう」と、ひとつひとつのオーダーにこたえてきました。 特に縫製のテクニックに関するそれは、今でも自分の中での課題のひとつです。 また、今のアパレルの状況を見ていると、自分の商品に価格を提示することが怖くなる時があります。 今のところクライアントさんから、私が提示した価格に対して何か言ってきたことはありませんし、 自分としても、こちらが提示した価格を高いと思う人は、無理に買わなくていいと思っています。 でも巷の衣服の大量生産と低価格競争から、服の市場価格に対する一般的感覚は安価になるでしょう。 決して誰のためでもなく、その人だけのために作ったものに対する値段の意味を、 理解していただける方が、これからますます減っていく気がする一方で、 私の商品を選ぶ同世代だったり、それより上の世代の方たちは、そのことを理解している人が多いので、 その存在からは、すごく励まされているし、前を向く意欲をいただいています。 去年、ウェブサイトを作ってから、更新することがそんなに多くなかったけれど、 写真と文章を発信をすることで、日頃、商品や生地の情報を見ていてくださる方が、 思ったより多いようで、サイトを拙く作りながらも、素直に嬉しく思っています。 最初にテキスト翻訳を手伝ってくれた友達と、撮影をお願いしている写真家さんにも感謝しています。
私が作っているものの、カテゴリーやキャパは本当に小さいのですが、 その中だけでも、これだけ多くニーズがあったということが本当に驚きでしたし、大きな発見でした。 本来、私は作るだけのひとで、届けるひと、伝えるひとではなかったのですが、 できることからやってみることに少し広げただけで、沢山のひととつながることができました。
この2年間、特にここ2ヶ月くらいのクライアントさんと製作の背景を通して、 これから自分が進んでいきたいと思う、進んでいくべき方向はおぼろげに見えてきました。 そこにまた、まっすぐに走り抜けるような熱を心に根ざしていけるように、 ただ作るだけでなく、美しいダンスや絵画を観て、音楽に耳をすませて、美味しいものを食べて、 そしてたまには、体が動かなくなるまで踊るなんてこともできればいいと思います。 ひとつの節目として2年目を数えることができて、本当に感謝しております。 クライアントさんがいらっしゃる限り、これからも続けていこうと思っています。 いつもいつもいつもいつも、どうもありがとう。

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